【書評】ホビー界の王者はやっぱり夢に溢れていた「田宮模型の仕事」

戦車のプラモデルこんにちは、ふろいどです。

今回はおすすめ本の紹介をしたいと思います。

紹介する一冊はコレです!

書名 :田宮模型の仕事
著者 :田宮俊作
出版社:文藝春秋社 文春文庫

田宮模型というと、ワタクシの世代は小学校高学年から中学生くらいにかけてラジコンブームでしたね。ホットショット、ホーネット、マイティフロッグ・・・ホビーラジコンは安いものでもセットで揃えると2〜3万はしたし、当時小学生のワタクシには高嶺の花でしたけど、憧れましたねぇ。

ワタクシより少し上の50代の方だとプラモデル、少し下の30代の方だとミニ四駆世代でしょうか。

本書は、そんな夢を産み出し続ける田宮模型の会長 田宮俊作氏が、戦後、製材業社だった田宮商事を現在のホビー界の王者 田宮模型に成長させるまでの涙と笑いの奮戦記です。

最初はビジネス本の感覚で手に取ったのですが、読み始めるとこれが面白い。

自らも模型好きの俊作氏が、ひたすらにリアルな模型の商品開発に没頭する姿は読んでいて気持ちが良いです。

そんな本書のなかから印象に残ったエピソードをいくつか紹介しましょう。

戦車の底がどうなっているか知りたい!

若き日の俊作氏、戦車のプラモデルを商品化するために戦車図鑑などの資料を漁るも、模型としては不十分なものしかなかったのだそうです。

写真といったも報道写真がほとんとで、あまり鮮明ではありません。また撮る角度もななめ前方のものが多く、資料として使える写真はなかなか見つかりませんでした。

私が特に知りたかったのは、車体の底と後部から見た形状です。

リベットが打たれている位置も形も数も、エスケープハッチ(脱出口)の形状もまったくわかりませんでした。

「第四章 取材こそ模型づくりの基本」 より

・・・後部はともかく車体の底は良いんじゃないの??? なんてツッコミを入れたくなりますよね。

結局、俊作氏はアメリカにある戦車博物館で、戦車の下に潜って写真をとりまくったそうです。

笑っちゃうほど真剣にリアルな模型を追求しているんですねぇ。

本物のポルシェを買ってバラバラに・・・

1976年に発売したポルシェ934ターボのプラモデル。

商品設計するにあたり、ドイツのポルシェの工場を取材するも、満足のいく採寸ができません。

そこで俊作氏、驚きの行動に出ます。

私は思い切って、ポルシェ911を買うことにしました。

乗るためではなく資料として買うのです。

で、これをどうするかというと、分解するのです。

911を自宅のガレージに運び、分解できるところは全部分解してしまいました。

「第五章 とことんやるのがホビーの世界」より

いやはや・・・プラモデルのためにそこまでしますか。

もはやクレイジーとも思えますが、模型は実物を再現するものですからね。

設計図面を書く人からすれば、当然の欲求なのかもしれません。

なお、このプラモデル、こだわりが災いして金型作りに金がかかりすぎ、結果、大赤字となってしまったそうです(笑)

組み立てるお客さんの立場に立って

造形がリアルなだけではない、プラモデルを作る過程を楽しんでもらいたい。

俊作氏のこんな考えがあらわれているこんなエピソードが・・・

そしてなによりも大切なのが、組み立てるお客さんの立場になって設計しているかどうかです。これは「組み立てやすい」ということだけではありません。

組み立てていく過程が楽しいかどうかです、

例えばオートバイの模型の場合、エンジンを組み立て、フレームに乗せる・・・これが自然な手順です。

ところがなかには、エンジンをフレームではさむような設計もあります。

〜中略〜

実車の”製造工程シミュレーション”として楽しめるということも取り入れなければならない大切な要素なのです。

「第五章 とことんやるのがホビーの世界」より

いやぁ、参りましたね。

プラモデルというものは完成後の造形をリアルにするという価値観だけかと思っていたのですが、田宮模型はさすがに違います。感動しました。

ユーザーの視点に立つという意味では、現代のビジネスにも通じるものがありますよね。

いかがでしたでしょうか。

子供の頃、プラモデルやラジコン、ミニ四駆などに熱中したおじさん世代にはたまらない内容となっています。

興味があれば、是非、よんでみてください。

それではまた!